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2017-01-19

宅建について・3:権利関係について

 権利関係は、宅建で最も難しい科目といわれます。得点目標は半分の7点。
 出題内容は「民法」「借地借家法」「区分所有法」「登記法」などです。
 そのうち出題数が最も多いのが「民法」です。が、この「民法」が最も難しく、受験生を悩ませます。
 ですが、「民法」は最も私たちに身近な法律です。宅建業に従事する方も、そうでない方も、知っておいたほうが良いと思われる知識がほとんどです。また、FP試験、行政書士試験、司法書士試験などの資格試験の受験科目でもあります。
 「民法」とは何なのかというと、「一般の国民(私人)に適用される法」です。民法は、「一般法」と「私法」の代表とされます。なお、「一般法」と対になるのは「特別法」で、宅建の権利関係で勉強する「借地借家法」も特別法にあたります。
 例えば、民法では、賃貸の期間は、上限が20年ということになっています。車を借りたり、本やDVDを借りるのは賃貸です。ただ、車や本やDVDを20年も賃貸するということはないと思います。
 が、家や土地を借りる期間が20年というと、どうでしょうか。借りた土地の上に家を建てる場合、20年という期間は短いと感じられます。そこで、「借地借家法」で、建物所有を目的とした土地の賃貸は下限が30年、建物の賃貸では1年未満の期間にすると、「期間の定めがない」契約になる……と定めて、貸主より弱い立場になる借主の立場を保護しているのです。
 このように、借地・借家という特殊な条件に適用されるのが「特別法」です。特別法は一般法に優先しますので、民法の賃貸は上限が20年ですが、借地・借家は賃貸の上限が基本的にありません(期間を定めた賃貸借契約(定期建物賃貸借等)はあります)。
 また、民法は「私法」ですが、これに対するのは「公法」です。公法の代表は、憲法です(憲法は、「法律」ではありませんが)。憲法は、国家権力から国民を守るための法です。これに対し、私法は、国民同士の争いごとを解決するための法です。
 例えば、売買契約。これは、国民と国民、つまり私人と私人との間の行為です。民法には「私的自治の原則」「契約自由の原則」といって、本人たちの自主性を尊重する原則もありますが、「いくら私的自治の原則や契約自由の原則があっても、それはやってはいけない」というストッパーのようなもの(「強行規定」といいます)も置いています。
 民法は難しい科目ですが、行政書士試験や司法書士試験ほど難しい問題が出題されることは、ほとんどありません。いわゆる「捨て問」のような問題もあります(条文問題、判例問題など)。とはいえ、受験生の半分が正答している問題は、確実に正解できるようになっておかないと、合格は難しいといえます。
 民法以外の権利関係では、特別法の「借地借家法」が出題されます。こちらは出題がおおよそ2問前後で、出題傾向もある程度決まっていることから、ある程度対策しやすいです。
 区分所有法・不動産登記法も、ある程度出題パターンが決まっていますので、過去問に出された問題は得点できるようにしておけば、対策としては十分だと思います。

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2016-12-14

宅建について・2:科目ごとの得点目標は?

 宅地建物取引士試験(宅建)の科目とその配点については、前回見た通り、

 権利関係   14点
 法令上の制限 8点
 宅建業法   20点
 税・その他  3点
 5問免除科目  5点

 となっています(50点満点。5問免除者は「5問免除科目」がなくなるので、45点満点)。
 そして、合格率の調整のため、年によって合格点は変わりますが、おおよそ35点(7割(70%))とれれば合格といわれます。
 そうすると、

 権利関係   7点
 法令上の制限 6点
 宅建業法   17点
 税・その他  2点
 5問免除科目  3点

 くらいが得点目標となります(50問中35点)。
 私がこれまで宅建関連の参考書やテキストを見てきた中では、宅建業法と法令上の制限に重きを置くものが多かったですが、権利関係でももう少し得点できたほうが、余裕をもって試験に臨めると思います。
 私は5問免除で受験しましたので、権利関係に割ける時間も多かったのですが、私の得点は

 権利関係   11点
 法令上の制限 6点
 宅建業法   19点
 税・その他  2点

 で、45問中38点(84.4%)でした(合格点は30点)。とはいえ、平成28年度は去年・一昨年に比べてかなり問題が易しかったので、あまり参考にはならないかもしれません。
 私の経験では、勉強する順番は、権利関係→宅建業法→法令上の制限→税・その他 で、勉強のスタートは4月でした。とはいえ、年が明けた頃から、全ての科目の概観はつかむように問題集は始めていましたが……。
 権利関係や宅建業法は、まだ時間の余裕があるうちにできますので、多少分からない部分があっても、気は楽です。
 ただ、4月から勉強を開始するスケジュールですと、法令上の制限を勉強する頃が夏頃になってしまうので、法令上の制限の勉強はかなり焦ってやりました。法令上の制限はとくに暗記中心なので、もっと早めに取り掛かったほうがよかったかもしれないと思います。
 (もっとも、もっと早くに勉強しておけばよかったというのは、全ての科目にいえることですが……)
 試験を受ける方は、余裕をもって、でも「次の試験で受かるぞ!」とい気持ちをもって、年が明ける前の今の時期に勉強を始めるのが良いと思います。私自身がかなり余裕をもって勉強して、一度で合格するぞ! という気持ちで合格したので……。
 あまり参考にならなくて恐縮ですが、私が「こう勉強した」、もしくは「もっとこう勉強したほうが良かった」ということを、科目別にざっとまとめていきたいと思います。
(つづく)

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2016-12-11

宅建について・1:宅地建物取引士とは?

 どの町にも必ず1つはあるであろう「不動産屋」さん。ですが、不動産業を営むには、免許が必要だということはご存じでしょうか。
 不動産とは土地・建物を指します(ちなみに、不動産以外のものは「動産」といいます)。不動産の売買は、多くの人にとっては一生に一度あるかないかの出来事なので、不動産業を営む会社は、必ず「宅地建物取引業」の免許をとらなければいけません(国・地方公共団体などには、例外もあります)。
 不動産屋さんに行くと、どのお店にも必ず、「○○知事免許(△)××××号」のような免許証番号の書かれたものがあります。不動産業者は、都道府県知事(複数の都道府県に事務所がある場合は、国土交通大臣)の免許を受けなければならないのです。なお、(△)の部分には数字が入りますが、これは免許が更新された回数を表します(免許の更新は5年ごと)。なので、この数字が大きいほど、長く営業されている不動産会社さんだということができます。
 これ以外にも、不動産業を営むうえで、欠かせないものがあります。それが「宅地建物取引士」の存在です。
 不動産業者は、基本的にはその事務所に、従業員の5人につき1人以上の、専任の宅地建物取引士を置かなければならないことになっています。「基本的に」というのは、「案内所」と呼ばれる出張所のような場所には、従業員数にかかわりなく、1人以上の専任の取引士を置けばよいという規定になっているためです。

 不動産の売買・賃貸に大きな関わりがある「宅地建物取引業」は、昭和27年に制定されました。
 そのときは、手数料を納めれば誰でも宅建業者(不動産業者)として登録できましたが、それではさすがに問題があるということで、昭和32年に法が改正され、事務所ごとに1名以上の宅地建物取引士(そのときは宅地建物取引員と呼ばれていました)の設置が義務づけられました。
 その後、「宅地建物取引員」という名称から「宅地建物取引主任者」(昭和39年)となり、平成26年に「宅地建物取引士」に名称が改められました。設置義務のある宅地建物取引士数も増え、昭和63年に「従業者5名に1名以上」となったのです。

 では、宅地建物取引士には一体 何ができる(何をする)のでしょうか?
 宅地建物取引士にしかできない業務に、「重要事項説明書に記名・押印する」、「重要事項説明書を説明する」、「契約書に記名・押印する」の3つの業務があります。
 アパートやマンションを借りたり、また、土地や建物を買われた方はご経験があるかと思いますが、不動産を借りたり、買ったりするさいには、「重要事項説明書」という書面の交付を受け、さらにその説明を受け、契約書にサインしなければなりません。
 「重要事項」とは、その名の通り、契約の判断材料となるもので、土地の売買であればその所有者は誰か、面積はどのくらいか、地目(宅地・雑種地など)は何かなどを説明したものです。その説明を受け、そのうえで契約をするようであれば、契約書に記名・押印します。
 そのため、必ず契約書に記名・押印する前に重要事項の説明を受けなければなりません(実際の契約のさいには、重要事項の説明を受け、そのまま契約書に記名・押印する、ということが多いです)。なお、重要事項の説明は、とくに場所を問わず、どこで行ってもよいことになっています。
 とくに不動産の購入など、一生に一度、あるかないかの契約をするわけですから、それを行う宅地建物取引士には、多くの知識が求められることになります。
 とはいえ、宅地建物取引士試験は、実務に必要とされる以上の知識が問われます。平成28年度の合格率は15.4%で、近年はおおむね15%前後で推移しています。
 不動産業者の5名につき1名以上の設置義務があるにもかかわらず、不動産業従事者の合格率があまり伸びないということで、「5問免除」という制度ができました。不動産業に従事している人は、指定の講習を受ければ、宅地建物取引士試験の5問が免除される(宅地建物取引士試験は50点満点ですから、5問免除者は45点満点になります)という制度です。
 (なお、5問免除を受けた方の合格率は、平成28年度の試験で20%。5問免除がないよりはやや高めとなっています)

 以上のように、宅地建物取引士の免許は、不動産会社には必須となっています。一定数の設置義務があるうえに、契約に関わることは、基本的に宅地建物取引士にしかできない仕事だからです。
 そのため、不動産業界へ就職・転職したい方に人気が高く、また、金融業などでも不動産の知識は重宝がられることが多いため、他業種の方でもとっておいて損はない資格です。
 その試験の内容ですが、民法や、不動産賃貸の法律の中心である「借地借家法」、主にマンションついて定めた「区分所有法」、不動産の登記に関わる「不動産登記法」などがまとめて「権利関係」で14点。
 建築業法や土地区画整理法、農地法などについて問われる「法令上の制限」が8点。
 宅地建物取引士試験の中核をなす「宅地建物取引業法(宅建業法)」が20点。
 固定資産税や不動産取得税など、税金にまつわる「税・その他」が3点。
 そして、5問免除の対象となる「5問免除科目」が5点。
 これらが試験科目となっています(50点満点)。
 (つづく)

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