FC2ブログ

オオカミについて③

2019.01.18 21:06|日本の神話・伝説・昔話
 オオカミについて調べていたところ、「長野県上伊那地方では、生まれたオオカミの仔を“灰坊(へいぼう)”と呼んでいた。これは主にこの地方に伝わる“早太郎(ヘエボウタロウ)”という霊犬の伝説と結びついているといわれている」という記述を見つけました。
 長野県駒ケ根市の光前寺に伝わる霊犬早太郎伝説は、県内の民話として知られています(私のように興味のある人間や、上伊那地方にお住まいの方にはよく知られていると思います……)。せっかくなので、下に載せました。
 ちなみに早太郎は「山犬」とされていますが、「山犬」とは、「オオカミ(民俗神話)」の項でも述べているように、オオカミのことを指しています。

 「オオカミについて」を書くにあたり参考にした資料:
【辞書類】
川口謙二『日本の神様読み解き事典』(柏書房、1999年)
新村出『広辞苑 第五版』(岩波書店、1998年)
山口佳紀『暮らしのことば 語源辞典』(講談社、1998年)
吉田金彦『語源辞典 動物編』(東京堂出版、2001年)
【テキスト】
植垣節也『新編日本古典文学全集5 風土記』(小学館、1997年)
小島憲之・木下正俊『新編古典文学全集6 萬葉集①』(小学館、1994年)
財団法人神道大系編纂会『神道大系古典註釈編五 釈日本紀』(神道大系編纂会、1976年)
坂本太郎・家永三郎・井上光貞・大野晋校注『日本書紀(一)』(岩波書店、1994年)
西宮一民『古事記』(おうふう、1973年)
【参考資料】
(記・紀神話)
井上辰雄『古事記のことば この国を知る134の神語り』(遊子館、2007年)
角林文雄『アマテラスの原風景 原始日本の呪術と信仰』(塙書房、2003年)
溝口睦子『王権神話の二元構造―タカミムスヒとアマテラス―』(吉川弘文館、2000年)
(民俗学)
浅川欽一・大川悦生『日本の伝説 3 信州の伝説』(角川書店、1976年)
楳垣 実『日本の忌みことば』(岩崎美術社、1973年)
栗栖 健『日本人とオオカミ 世界でも特異なその関係と歴史』(雄山閣、2004年)
谷川健一『谷川健一著作集 第九巻』(三一書房、1988年)
谷川健一『日本の神々』(岩波書店、1999年)
菱川昌子『狼の民俗学 人獣交渉史の研究』(東京大学出版会、2009年)
日本民話の会『ガイドブック日本の民話』(講談社、1981年)
(言語)
中西進『ひらがなでよめばわかる日本語のふしぎ』(小学館、2003年)

続きを読む >>

スポンサーサイト



テーマ:日本文化
ジャンル:学問・文化・芸術

オオカミについて①

2019.01.16 20:53|日本の神話・伝説・昔話
 管理しているサイトのコンテンツで、「名前」について書いています。動物の名前の由来もなかなか面白く、私たちの祖先が、その動物についてどういうふうに考え、どんな視線で見ていたかが分かり、興味深いです。
 日本で古くから特別視されていた動物は、おそらくオオカミとヘビ。ヘビは外国でも複雑な性格をもった存在として描かれています。
 ニホンオオカミは人間の手により絶滅して久しいですが、今も日本人の信仰の中に残っています。
 ただ、記・紀神話にはほとんどオオカミについて出てこないので、記・紀神話における動物に関する項目には載せられていない記事があります。
 せっかくなので、以下に載せました。

続きを読む >>

テーマ:日本文化
ジャンル:学問・文化・芸術

「来訪神」ユネスコの無形文化遺産登録おめでとうございます♪

2018.11.29 20:41|日本の神話・伝説・昔話
 以前 なまはげについてブログに書きましたが、なまはげなどの来訪神がユネスコの無形文化遺産に登録になったとのことで……おめでとうございます。
 ↓そのとき投稿した記事から抜粋



 小正月の晩に村の青年が鬼に仮装し、「泣く子はいねが」「怠け者の嫁ごはいねが」などと言って家々を回り歩く行事。もともとは怠け者の象徴であるナモミ(火斑。低温火傷によってできるため、「怠け者の証」として認識されていたようです)を剥ぎにくる鬼のことであったようです。
 起源については諸説あるようですが、村上健司『妖怪事典』(毎日新聞社、2000年) によれば、漢の武帝が五匹の鬼とともに男鹿半島の真山、本山に住み着き、その鬼たちが忠実に働くので、1月15日の小正月にだけは里におり好きに振る舞ってよいと許されたのだそうです。
 民俗学者・谷川健一氏の著作『谷川健一著作集 第九巻』には、このなまはげは海の向こうからやって来る「まろうど」と関係があるのかも知れないとあり、海からのまろうどと関係があると考えられるなまはげが「くが」(=陸)に通じた名を持つ男鹿半島に来るのは、意味深いことがあるのではないかとしています。

 ちなみに、「まろうど(まれびと)」とは、民俗学で異郷から来訪する神をいいます。この「まろうど」については諸説ありますが、海に囲まれた地域には特に、古来 「海上他界観」(海の向こうに別世界があるとする考え。沖縄のニライカナイ、中国の蓬莱山、日本における竜宮など)という考えがありました。例えば一寸法師のモデルとされるスクナビコナ(出雲神話の主神・オホクニヌシと力を合わせ国造りを行った神。一寸法師のモデルと考えられています)も、海の彼方からやって来て、国造りを終えた後、海の彼方にある常世国に行ってしまいました。このことから、よそからやって来た者(客人すなわち「まろうど」)は、手厚くもてなせば一家に幸せをもたらすという考えがあり、海の向こうからやって来るなまはげも、この「まろうど」と繋がりがあるのかもしれません。



 男鹿半島に行きたいと何年も思いつつ、いまだに行けておりません……。

テーマ:日本文化
ジャンル:学問・文化・芸術

「仏様のこと」について:余談①

2017.07.22 20:22|日本の神話・伝説・昔話
 来月京都に行く目的が、多分に「木造弥勒菩薩半跏像(広隆寺)が見たい」を含んでいるので、弥勒菩薩について色々と調べていました。
 京都に行って実物を拝観したら、特集ページを作りたいくらいに興味深い菩薩様なのですが、取り急ぎ、色々調べて「なるほど」と思ったことや雑感などを記していきたいと思います。

 弥勒菩薩は釈迦如来入滅後、56億7000年経って人間界に生まれ、悟りを得て仏(如来)となる、とされています。
 つまり、現在は修行中の「菩薩」で、その修行が行われているのが「兜率天」。これは、弥勒菩薩以前に如来となった釈迦如来もまた、過去に無数の輪廻を経て、兜率天に昇って修行した後、機が熟して釈迦族の王子として誕生した──という説話があるためです。
 お釈迦様が菩提樹の下で悟りを開いたように、弥勒もまた竜華樹の下で悟りを得るとされるなど、釈迦如来の後継者である弥勒の説話は、お釈迦様のそれとよく似ています。また、釈迦如来や弥勒如来(菩薩)などの例から、兜率天はとくに次に如来となる菩薩(補処の菩薩)が修行する場所であるとされているようです。
 「六道輪廻」という言葉がありますが、この「六道」は下から「地獄界」「餓鬼界」「畜生界」「修羅界」「人間界」「天上界」となっています。兜率天の存在する「天上界」は、六道の最上位ではありますが、まだ輪廻を繰り返す世界であり、悟りを開き仏陀(如来)となれば、六道に属さない浄土に行くことになります(涅槃、解脱)。
 天上界も何層にも区分されていて、そのうちまだ欲にとらわれた「欲界」の「六欲天」の1つに兜率天があります(ちなみに欲界の天主を「第六天魔王」といいます)。
 宮沢賢治の「永訣の朝」に、「兜率の天の食(じき)」という言葉が出てきます(当初は「天上のアイスクリーム」であったのが、「兜率の天の食」に変更されたようです)。解釈がさまざまあるので、一概に弥勒菩薩と結びつけるわけにもいきませんが、この詩の背景と、弥勒菩薩が今 未来において衆生を救うために修行しているのが兜率天である……ということと考え合わせると、何だかとても意義深く感じられます。
 なお、日本では、弥勒菩薩が修行している兜率天は、阿弥陀如来の極楽浄土同等の「弥勒浄土」とされるようになったようです。
 顕教では、東方が薬師如来の瑠璃光浄土、西方が阿弥陀如来の極楽浄土(いわゆる西方浄土)、北方が釈迦如来の浄土、南方が弥勒浄土とされているそうです。とはいえ、浄土(仏国土)は、仏の数だけあるそうですが……。私個人としては、北方と南方で、釈迦如来とその後継者である弥勒如来が向かい合う形になるのが興味深いと思います。なお、この四方四仏は、時代が下ったり、密教になると、違う仏様たちになるようです。
 ちなみに、兜率天での1日は人間界での400年に相当し、兜率天の住民の寿命は4000年あるとされているそうです。1年を360日とすると、400年×360日×4000年=5億7600万年。
 弥勒が下生するとされる56億7000年とは桁数が違いますが、もしかしたら兜率天での1日が400年で……ということから、56億7000年などの数字が出されていったのかもしれません。

 参考:石上善応『弥勒菩薩 永遠の明日』(株式会社創美社、1987年)、田中義恭・星山晋也『目でみる仏像 完全普及版』(株式会社東京美術、2000年)

テーマ:日本文化
ジャンル:学問・文化・芸術

| 2019.11 |
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カレンダー

10 | 2019/11 | 12
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新記事

カテゴリ

月別アーカイブ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

QRコード

QR

ページトップへ