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書体のこと・② 古き良き書体

2014.04.29 23:31|編集・校正
 以前書いた記事に、日本における金属活字印刷技術を確立した本木昌造について少し載せました。
 本木昌造が門弟の小幡正蔵と平野富二を派遣して設立させた長崎新塾出張活版製造所がのちに東京築地活版となるのですが、この東京築地活版で用いられていた書体を書体にして配布しているサイトがあります。古い活字書体をフォント化するプロジェクトのサイトで、「Gutenberg Labo」というサイトです。
 築地活版の書体だけでなく、ケルトのルーン文字や、シャーロック・ホームズに登場する「踊る人形」の書体なども公開されています。築地活版の書体は、古い本で誰もが一度は見かけたことのある美しい書体です。
 日本語はその文字数が多く、一つの印刷所につき明朝体とゴシック体を一種類ずつ、文字の大きさ(号もしくはポイント)だけ変えた活字を保有していたようです(つまり、印刷所ごとに異なる書体を持っていたということになります)。有名な印刷所の書体に、大日本印刷の書体、精興社の書体などがありますが、この築地活版の書体もそれらに負けず劣らず美しい書体。私もぜひ、この美しい書体をどこかで使ってみたいものです。
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春の読書週間

2014.04.26 21:04|読書
 昨年度は何かと忙しく、文芸小説を読む気力が湧いてきませんでしたので、今年度は開始と同時に文芸物を読みました。
 今月上旬の記事にも書きましたが、京極夏彦先生の「百鬼夜行シリーズ」(『鉄鼠の檻』『塗仏の宴 宴の始末』)と、「巷説百物語シリーズ」(『巷説百物語』『後巷説百物語』)を読みました。
 そのうち、『後巷説百物語』「赤えいの魚」で、舞台設定が男鹿半島の「戎島」で、民俗学のことを丹念に織り込みながら物語を綴られているのだと改めて感嘆しました。他の作品もそうなのでしょうが、私の中ではとりわけいわゆる「まろうど神」の存在が大きいもので。
 というのも、昨年亡くなられた民俗学者の谷川健一氏が、男鹿は「海」に対する「くが」からきており、海からのまろうど神が訪問する土地としてその地名がつけられているのではないかと著書の中で書かれていたのです。男鹿半島といえば「なまはげ」で有名ですが、ほんらい小正月に訪れるこの神もまた、まろうど神なのではないかとも書かれていました。
 それに加えて、『古事記』『日本書紀』に登場する蛭子(ひるこ)と漂着物を指す「えびす」、七福神にも数えられる恵比寿様。舞台設定が巧みで素晴らしい。
 私が民俗学に興味を持ったきっかけが、『古事記』『日本書紀』を専攻している過程で、柳田国男・折口信夫・南方熊楠、そして谷川健一の著作を読んだことにありましたので、そこで読んだことが小説の中に登場してくるとなお面白いですね。とはいえ、男鹿半島には、実際には行ったことがないので、ぜひ一度行ってみたいと思っています。
 逆に、頻繁に行ったことのある白樺湖が登場する『陰摩羅鬼の瑕』は近くの図書館にないので、未見だったりします。
 ちなみに、「百鬼夜行シリーズ」も「巷説百物語」シリーズも、作品が妖怪の名を冠しているところから、おどろおどろしいイメージが湧いてきますが、読了後に絶望感などはとくに感じないです。とくに「巷説百物語シリーズ」は、人間の持つちょっとした弱さ、浅はかさが身につまされて、ほろりとしてしまう作品が多いです。とくに(以前読んだ)『西巷説百物語』はそういう作品が多かったかな、という印象でした。

 そのほか、最近話題の本? で、坂木司先生の『和菓子のアン』を読みました。和菓子と、日常のちょっとした謎をからめているのが面白いです。日本人が四季の移ろいを愛し、また物の名づけにさまざまな意図を込めているのが分かって面白いです。ぼたもち(おはぎ)の説明が面白い。読むと和菓子を食べたくなります!
 同じ作者で、同じ世界観の作品『切れない糸』も面白かったです。『和菓子のアン』は、食べることが好きな主人公が、デパ地下の和菓子屋さんでアルバイトをする、という設定ですが、『切れない糸』は、商店街のクリーニング屋さんを継いだ主人公のお話。主人公がクリーニング屋さんであるにもかかわらず、こちらの作品にも食べ物がたくさん出てきて、お腹が空きます……。
 どちらの作品も、テンポよく読めて、読んだ後に心が温かくなる。そんな作品でした。

 あとは、以前好きだった(今も面白くて好きなのですが)宮部みゆき先生の本。面白かったことは覚えているのですが、細かい内容は忘れてしまっているので、改めて読むと面白さもまたひとしお。こちらも、人間であれば誰もが持つようなちょっとした弱さ、脆さをたくみに描いている作品が多いです。
 短編集ですと、『ステップファザー・ステップ』、最近ドラマが放映されたらしい『淋しい狩人』、長編『パーフェクト・ブルー』の続編である『心とろかすような』が我が家の人気作品です。個人的には、文春文庫『人質カノン』所収の「八月の雪」が、静かに、でも力強く読者に語りかけてくる作品で、好きです。
 長編だと『魔術はささやく』『蒲生邸事件』。この2作品に出てきた言葉に励まされることが何度かありました。大作『模倣犯』も面白いのですが、読後とてもやりきれない気分になります。『火車』、『理由』なども、わりとそのような読後感を味わいました。
 それと、「ぼんくら」シリーズも面白いです。時代劇はあまり読まないのですが、このシリーズを読んでいろいろ手を出してみようかな、と思いました。

書体のこと・①

2014.04.22 21:00|編集・校正
 本を読むにあたり、「書体」(いわゆる「フォント」)が大事だなあ……と思う今日この頃。
 最も多く用いられる「明朝体」にもさまざまな種類がありますし、明朝体に次いで多く用いられる「ゴシック体」も多種多様。作者が違っても体裁が同じ文庫本や新書本は、出版社ごとに書体が決まっているケースが多く、たとえば講談社の文庫本は、現在ではすべてDTPで製作しているためかヒラギノ明朝で統一されています。ちなみに、ヒラギノ明朝は、Macを購入した時点でインストールされている書体なので、Macユーザーに一番馴染みのある書体だと思われます。Adobeの製品を購入すると「小塚明朝」と「小塚ゴシック」がインストールできるので、こちらも色々なところで見かけます。
 それはともかく、書籍や雑誌以外のWebサイトでも書体は大事だと思うのですが、閲覧している人のPCにその書体が入っていなければ、その書体で表示されることはない。なので以前は、タイトルやコンテンツの文字は画像化して使っていました。
 それが現在は、「Webフォント」というものの存在のおかげで、閲覧者がそのフォントを持っていなくても、そのフォントでWebページを表示できるようになっています。日本語は有料のものが多いうえに文字数が多く表示時間がかかりますが、代表的な書体製作会社であるモリサワもそのサービスを行っているので、リンクを貼っておきます。
 
 TypeSquare:http://typesquare.com/

 個人的な見解かもしれませんが、書籍で一番多く見かけるのがこちらのモリサワの「リュウミン」という明朝体。というより、町中を歩いていても、モリサワの作った書体を一番見かけることが多いです(たとえば、JRや東京メトロの駅名表示は、このモリサワの出している「新ゴ」という書体のようです)。
 ほかにも、和文書体なら「もじでぱ」、「デコもじ」、「FONTPLUS」、「amanaimages」など。欧文書体だと「Google Fonts」、アイコンフォントなら「Font Awesome」。
 色々あるので、少しずつ試してみようかと思っています。

漢字のいろいろ・③ 部首について

2014.04.19 22:29|編集・校正
 漢字の雑学シリーズの続きです。

■部首について
 漢字の部首は214種類あるとされます。
 その分類は、色(白・赤・青……)・体(口・手・毛……)・動物(牛・犬・羊……)・植物(木・米・麦手……)・自然(土・山・川……)・器具(弓・刀・戸……)など。それがさらに、同じ意味のグループ(木の種類である「桜・松・柏」、木の部分「根・枝・梢」、木に関する動詞「枯・植」、木の利用法「板・材・柱」など)や部分(上方「杏・李・査」、下方「果・栄・案」、中央「本・末・束」、複数「林・森・楚」)によって分けられます。
 また、水が「さんずい」に、心が「りっしんべん」、手が「てへん」のように、もとの漢字を変形して用いられているものもあります(さらに、もとの漢字とは画数も異なります)。このあたりが、漢字をさらにややこしくしている原因なのでしょうが……。
 とはいえ、読みが分からない漢字を漢和辞典で調べるには、部首索引を引くのが一番(ちなみに、総画索引のうち、同画数の項目は部首順で配列しています)。部首索引が辞典ごとに工夫されている例も多いので、そこはやはり、引いて、慣れろ、ということになるでしょうか……。

漢字のいろいろ・② 漢字の音訓

2014.04.15 20:13|編集・校正
 漢字の雑学シリーズの続きです。

■漢字の音訓
 「音」は中国人の発音を真似た日本人の発音を、「訓」は日本語(和語)に翻訳した読み方のことをいいます。
 この「音」には呉音・漢音・唐音があり、呉音は4世紀末から6世紀ころの呉地方から、漢音は7世紀以降(隋・唐)の長安(西安)から、唐音は平安中期から江戸時代に唐から、それぞれ伝わった音とされています。
 伝わったのが最も古い呉音は、仏教用語に多く用いられています(回向、解脱、還俗など)。漢音は、漢字の音として最も多く用いられている(全体の3分の2)といわれています。最後に伝わった唐音はきわめて少なく、器具(灯、蒲団、花)などに用いられているとされています。
 一つの漢字でも、たとえば「京」は、呉音では「きょう」、漢音では「けい」、唐音では「きん」となります。「頭」は、ず(呉音)・とう(漢音)・じゅう(唐音)。「明」は、みょう(呉音)・めい(漢音)・みん(唐音)。これらに加え、日本語独自の漢字音や、複数の訓読みが一つの漢字に与えられていることから、漢字は難しいもの、と見なされるようになったようです。

 ……つづく?……

行間を読む?・⑥

2014.04.13 21:17|編集・校正
 文章を書くときの注意点……を、自戒を込めて箇条書きにしておきます。

文体の統一 いずれかの文体で統一する。
 ①文語体(古典語を用いた文体)
 ②口語体(現代語を用いた文体で、「……である、……だ」調。常体)
 ③口語体(現代語を用いた文体で、「……であります、……です」調。敬体)

てにをはの注意
 ら抜きことば、い抜きことば。「見れる」「食べれる」「来れる」「出れる」「着れる」「してる」「してない」「使ってる」など。
 ただし、会話ではい抜きことばを使う場合がある。

敬語表現
 謙譲語、尊敬語、丁寧語がある。日常生活でよくいわれるのは、「お疲れ様」は目上、「ご苦労様」は目下、など。

気をつけたい重言(重複した言葉)
 いちばん最初
 沿岸沿いに
 各ファイルごとに
 全国中から
 電車に乗車する




 ……つづく?……

最近読んだ本など

2014.04.11 23:26|読書
 前回の備忘録で、妖怪について少し触れた関係で、先日 京極夏彦氏の著作(百鬼夜行シリーズ)を手に取りました。前から気になっていたのですが、ようやく……です。
 読まれたことのある方はもちろん御存知だと思いますが、妖怪についての造詣が深くて面白いです(もちろん、妖怪の紹介が物語の主題ではないのですが……)。柳田国男や折口信夫の説についても論及があって興味深いですね。
 さすがに厚さのある本ばかりで購入がはばかられ、図書館で借りたのですが、置いてある巻が飛び飛びなのが残念。2~3図書館を覗いてみたのですが、『塗仏の宴』の後篇(宴の始末)がどこにも置いていなかったので、続きが気になって仕方ありません。
 内容は読んでみてのお楽しみ……ですが、民俗学に関する記述では、『狂骨の夢』に登場する神話や『塗仏の宴 宴の支度』おとろし に登場する神話が興味深かったです。古事記・日本書紀に登場する神様が出てくるということに加え、自分の故郷に近い場所に伝わっている神話だから、ということが大きいのですが。

 ……また違う図書館に行って、続きを探してみようか……。

近況など

2014.04.08 23:14|ことば
 ことのは「名前」がまだ途中ですが、「方言」を先に更新しました。
 本当は「方言」の前に「場所」という項目を入れる予定でした。ここでは地名のほか、特定の場所(山や海)でだけ用いられる忌み言葉についてや、「異界」について記すつもりでしたが、まだまだまとめきれそうにないので先送りにします。
 少し書いておきますと、

○「里山」ということばがあるように、里と山とはほんらい別世界、対立することばだった。
 「里」は、人の暮らす世界(サは神聖を表す接頭辞、トは処の意)のことを表していた。
 「山」は、死者が住む世界(黄泉)からきているのだとする説や「闇」からきているのだとする説があり、山がどのようにとらえられていたのかうかがえる。
 →昔話ですずめのお宿があり、天狗がいて、中国の伝説で桃源郷があったのは「山」(かつて山は異界であったので、山で修行をしていた修験者の姿が見本となって、現在私たちの知る天狗の姿が生まれた)。
○日本だけでなく色々な場所で、山と、そして海とは「別世界」ととらえられていた。海を他界とする例には、浦島太郎に登場する竜宮城、沖縄のニライカナイなどがある。山や海は別世界だとする考えは、それぞれ「山上他界観」「海上他界観」などと呼ばれる。
○山や海は私たちの住む世界とは違う「別世界」であり、それぞれを治める神様がいらっしゃった。そのため、神様に対し失礼にあたらないよう、猟師・漁師は、「忌み言葉」というものを使っていた。
 たとえば、山では〈ヤマイヌ〉のことを「大神」と呼んだ(ほんらい〈ヤマイヌ〉の忌み言葉が「大神」だったが、後にそれは〈ヤマイヌ〉そのものの名前とされた)。
○土地の区切りのことを「境」という。『古事記』『日本書紀』で、イザナキと、黄泉の国の住人となったイザナミが別れた場所を黄泉比良坂という。坂が合うところがサカアヒ=サカヒである。
○村境や辻・峠などに多く見られる道祖神(サエ(塞・幸)の神とも呼ばれる)は外来の悪霊を遮る神とされるが、これはつまり、村境や辻・峠がかつての「境界」であったためである。
○「橋」も境界の一つと考えられていた。橋という語は「端」と関わりがある。よく、幽霊が柳の下に佇む絵があるが、柳は水辺、つまり橋のたもとに植えられることが多くあったので、境界である「橋」と深く関わりがある柳の下に幽霊が佇むようになったといわれる。

 ……など。
 民俗学の分野でこの「境界」がかなり大きく取り扱われていて興味深いです。
 とくに、時刻の境目である「逢魔が時」や、場所の境目である「辻」や「橋」、「峠」に妖怪が現れるのは、そこがすべて何らかの「境目」であるから、のようです。
 この妖怪についても、零落した神であるとか、まつろわぬ民の姿であるとか、色々な見方があって面白いのですが……これについてもまたいずれ。

漢字のいろいろ・① しんにょうのお話

2014.04.06 20:48|編集・校正
 シリーズになるかどうか分かりませんが、漢字にまつわる小話はたくさんありそうなので「1」としています。

■しんにょうのお話
 しんにょう(もしくは「しんにゅう」)といえば、「道」「通」などにつく、漢字を構成する要素の一つ。ちなみに、漢字を構成する要素には偏(左側)・旁(右側)・冠(上)・脚(下)・垂(上左)・繞(左下)・構(周囲や左右など)があり、「しんにょう」は形が「之(し)」に似ている繞(にょう)であることから「しにょう」→「しんにょう」と呼ばれるようになったのだとか。
 この「しんにょう」、中国でも日本でも、古くから手書きは点が一つ、明朝体では点が二つ、となっていました。これがまぎらわしいということで、常用漢字に取り入れられた「しんにょう」はすべて手書きと同じ点一つにされたのですが、常用漢字に入っていない字(辻、迂、迄、辿、迦、這、逗、逢、遁、逼、遡、遜)の点は明朝体に合わせた二点のままになったのだとか……(拡張新字体の問題)。
 Windows Vista以降では正しい字(点二つの「しんにょう」)に直っているはずですが、まだWindows XPの使用率が高いので、気にしてみると……拡張新字体が使われている書籍や雑誌に巡り会えそうです。
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