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妖怪について・1 異界について

 昨年は「妖怪ウォッチ」の影響で妖怪ブームでした。私は民俗学の面白さに気づいて以来、妖怪にも興味があっていろいろ調べてみたので、以下に妖怪について載せておきます。

異界について:境界の向こう側

 「境界」とは私たちの暮らす現実世界と、異界とを分けているものと捉えられていました。
 それでは境界の向こう側の異世界とはどんなものであったかというと、そこは妖怪に代表される、人智を越えた不可思議な存在の暮らす世界であり、現実世界とは隔てられた世界と考えられていたようです。
 異界の代表的なものが「山」「海」でした。山の上には別世界があるという考え(山上他界観)や、海の向こうには別世界があるという考え(海上他界観)は、民話にも見られます。例えば、海の向こう(もしくは海底)にある別世界に行った浦島太郎がそうですし、山の奥にある「隠れ里」も同じ考えに基づいていると考えられます(「舌切り雀」に登場する「雀のお宿」などが隠れ里です)。また、山も海も異界であったため、そこへ入ってゆく猟師や漁師は「忌詞(いみことば)」という、日常生活では用いられない特別な言葉を使ったといわれています。現在よりも異界という概念が強くあったためでしょう。
 それでは、私たちの暮らす現実世界と、異世界との境界とは、どこにあったのでしょうか。
 よく、幽霊が柳の下に立つ、という絵が見られますが、柳は橋の傍に植えられる樹でした。柳は水を好むので、よく川辺、橋のたもとに植えられたのですが、橋は「あちら(彼岸)とこちら(此岸)を繋ぐもの」で、「境界」を表しています。日本の絵巻に橋が描かれている場合、一緒に道祖神などが描かれていることがあります。道祖神(塞の神)もまた、「境界」を象徴するものでした。
 橋は境界を象徴し、そこから「あの世とこの世を繋ぐもの」という意味合いをも持っています。そこで、橋のたもとに植えられる柳にも、境界の意味が付与されました。柳の下に幽霊が立つのは、柳や橋が「あの世とこの世の境」の象徴であることからきていると考えられます。橋の語源は「端」であるとされますが、その他、「はしご」「はしら」「きざはし」など、端と端とを結ぶことから、「何かと何かを結ぶもの」が「はし」とされているようです。また、「辻」(「つむじ」と同様の性格をもつ言葉で、何かを集合させる、巻き込むという意味合いをもつ語とされます)なども、橋と同様、特異な空間と見なされていたようです。辻ごとに供養棚が置かれたり、無縁仏供養のための施餓鬼棚が置かれていたのも辻であったりというのが、その代表例です。
 上記の通り、妖怪は異界に暮らす存在でしたが、異界は私たちの暮らす人間世界と隣り合う世界でもありました。道祖神より向こう側、つまり村を一歩出ればそこはもう「異界」でした。それだけでなく、家の中にも境界はありました。例えば玄関がそうですし、お便所もそうです。特にお便所は、多くの幽霊が登場する場所でもあります。異界と現実世界とは隣り合う世界(身近なもの)であったがゆえに、村の中でも行き会う相手が誰か確認できない「誰そ彼時」は「逢魔が時」であり、妖怪の住む異世界と私たちの暮らす現実世界との境目が薄れる、妖怪に出会う可能性のある時間でもありました。この時間は昼から夜へと移行する、時間的な「境界」であったためでしょう。
 また、幽霊が出現するのは「丑三つ時」(※)ですが、やはり夕方から夜にかけて、太陽の力が届かない時間が人間にとっては恐ろしい時間であったようです。

※……江戸時代には日の変わり目は丑寅の間とされ、丑の刻が1日の終わりとされていました。干支で表す時間(=一刻)は現在の2時間に当たり、それらはさらに四分して「1つ、2つ、3つ、4つ」と呼ばれました。この一つ・二つを「初刻」、三つ・四つを「正刻」ともいいます。子の刻はおおよそ現在の午後11時から午前1時までの2時間(午前0時から午前2時までとする説もあります)で、丑三つ時は現在の午前2時~2時半頃になります。
 余談ですが、午の刻が現在の午前11時から午後1時(初刻が午前11時~12時、正刻が午前12時~午後1時)に当たるので、「午前」「正午」「午後」などの語が生まれました。
 管理人が運営している日本文化ぶっこみサイト「コトノハナ」の「わのこと」→「近世」→「江戸時代の暦法」に図示も載せてありますので、よろしければ参考までに。

 なお、幽霊と妖怪の違いについては、この記事で少し触れています。参考までに。
 余談ですが、友人に薦められて私も「妖怪ウォッチ」をプレイしました。友達はなかなか増やせませんが、季節が夏休みということもあり、小学校時代がすでに遠くなった私にとっては懐かしくも新しい内容で、面白いです。
 さらに余談ですが、私が妖怪に興味を持った理由その2は(その1は民俗学)、同じくゲームの「大神」でした。私の中で今なお不朽の名作と位置づけられているゲームです。日本文化もふんだんに取り入れられていますので、興味のある方はぜひ。
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