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枕草子

 専攻は上代文学でしたので、あまり(というか全く)中古文学について詳しくない私ですが、高校生の誰もが避けて通れない「古典」の『枕草子』について受けた講義が面白かったので、少し下に記しています。

 『枕草子』とは何か
 作者は中宮定子に仕えた清少納言。成立は1000年頃。……というのは、多くの人がすでにご存じのことですね。
 清少納言が書き始めたきっかけは、定子が内大臣・伊周(定子の兄)から紙を渡され、「これになにを書かまし。上の御前には史記といふ書をなん書かせ給へる」とおっしゃったのに対し、清少納言が「枕にことは侍らめ」と答えたところ、その紙を定子から渡されたため、とあります。
 「枕草子」というのは一般的に「座右の書」の意。ですが清少納言は、定子の「これになにを書かまし。上の御前には史記といふ書をなん書かせ給へる」の言葉を受け、「史記」(=敷き)に対する「」と機転を利かせて答えたのだ、と解釈されます。
 つまり、男性の天皇が読むに相応しい漢文で書かれた歴史書(『史記』)に対し、女性である中宮が読むに相応しい仮名で書かれた和歌・歌題が『枕草子』の書名の由来であり主題、というふうに解釈できるのです。

 春はあけぼの
 『枕草子』といえば有名なのは、「春はあけぼの……」で始まる冒頭の章段。
 ただしそれまでの古今集的な美意識では、春は花、夏はホトトギス、秋は月、冬は雪、と表されていました。そのため、清少納言の「春はあけぼの……夏は夜、月の頃」という瞬間的な美は、新しい美意識だったといえます。
 また、「春」の部分で挙げられたのは、あけぼのの「紫だちたる雲」。中国の思想で聖代を表す紫雲です。つまり、清少納言の仕える定子を言祝いでいるのだ、ととることができます。
 「春はあけぼの」の章段は『枕草子』の冒頭。つまり、『枕草子』全体を表す章段です。そこで清少納言は、新しい美意識を打ち出し、また中宮定子を賛美している。それが、『枕草子』の主題とされています。

 『枕草子』は清少納言の自慢ばかりととらえられがちですが、彼女は中宮定子に仕えた存在。つまり、清少納言の行動への賛美は、そのまま彼女の仕える中宮定子への賛美にもなります。
 『枕草子』とは、清少納言の自慢話ではなく、彼女が仕えた中宮定子への賛美を描いたもの。そういう視点でとらえると、各所で見られる中宮定子が、いかに理想的に、素晴らしく描かれているかも見えてきます。
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