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花街あれこれ②(遊女の位)

 吉原と並び有名なのは京都嶋原ですが、嶋原では長く「太夫職」が存在した(現在もいらっしゃいます!)のに対し、吉原では最高位の太夫職が消滅してしまいました。
 そのため、吉原のイメージが強い「遊郭」の最高位の遊女は「花魁」というイメージがありますが、「花魁」は「太夫」を指したり、太夫やそれに次ぐ位の格子を指したり、太夫・格子職が消滅した後の「呼出」・「昼三」・「附回」の3つの位の遊女を指していたともいいます。
 (エンターテインメントなのであまり堅苦しくいうのも何ですが、)時代物の漫画や小説や映画だと「花魁」ですべてくくってしまいますが、必ずしもみなが横兵庫を結っていたわけではないですし、みながみな「~でありんす」と言っていたわけでもないようです……。

 太夫
 公娼最高位の遊女(松)。
 能ではシテの尊称として使われていた。
 江戸時代初期、京の街や四条河原で能の興行があって、遊女の中ですぐれた者が出演したとき、それらを昔の用例に従って太夫と称した。それが起源となって、遊女の上職を太夫と称したと伝えられている。
 天和・貞享のころ揚代(=芸娼妓を揚屋に呼んで遊ぶ代金)は銀76匁(※ 銀60匁=1両)。(『女性語辞典』東京堂出版)
 嶋原・大坂新町などでは「こったい」と呼ぶ(「こちの人」から。「うちの人」の意)。
 松の位は大夫の異称で、秦の始皇帝が雨宿りをした松に大夫の位を授けた故事によるといわれる。(『日本史小百科 遊女』東京堂出版)

 格子
 太夫に次ぎ、局女郎の上に位した女郎。上方の天神職に相当。表通りに面した格子の中に控えていたことから。(『広辞苑第五版』岩波書店)
 新吉原初期(寛文年間)に端女郎より分れた者である。(『日本史小百科 遊女』東京堂出版)

 散茶
 山茶とも。
 元禄頃、吉原に出現した遊女の位。
 元は町中の風呂屋女(垢掻、あかかき)であったものを、寛文5年、奉行所がからめとり、これを吉原に投入し、堺町、伏見町に定住せしめた連中の階級名であったが、やがてこの階級から優秀な遊女が輩出したのと、その謙虚な態度が客の好みに合ったのとで次第に勢力を伸ばし、やがて従来存在していた太夫、格子などの上位階級を凌いで最上位にのぼった。のちの座敷持・部屋持の昼三がそれである。「さんちゃ」の呼称は、従来先住した太夫・格子が唱えた蔑称で、「さんちゃ」は床に入っても客を「ふり出さない」ことからつけた名という。(『女性語辞典』東京堂出版)

 呼出
 太夫・格子の位がなくなって以後、散茶の中から出た最上位の遊女。張見世をせず、仲の町で客に会ったのでいう。(『広辞苑』第五版)
 太夫、格子の地位にとって代るのが、呼出といわれる遊女で、仲之町を道中する特権をもつ。(『日本史小百科 遊女』東京堂出版)
 昼三のなかで上級なのが呼出女郎。道中をするのはこの花魁であった。(『江戸吉原図聚』中公文庫)

 昼三
 昼夜で揚げ代が3分であったことから。「中三」とも書く。太夫・格子女郎のなくなって以後、最高位の女郎。古くは散茶女と呼んだ。(『広辞苑第五版』岩波書店)
 呼出と同じ散茶系、やはり仲之町を道中できる。(『日本史小百科 遊女』東京堂出版)
 呼出でない昼三を平昼三と呼んだ。(『江戸吉原図聚』中公文庫)

 附廻し
 昼三につぐもので、揚代が2分で、昼夜別々の切売り、つまり片仕舞はしなかった。(『江戸吉原図聚』中公文庫)
 呼出・昼三と同じ散茶系で、付廻しという道中も張見世もできない階層。(『日本史小百科 遊女』東京堂出版)

 埋茶
 梅茶とも。
 散茶を水で薄めたものを埋茶(梅茶とも)と呼んだことからという。
 寛文年中、吉原に生じた階級名。当初は太夫・格子・散茶についで第四位であったが、散茶の昇格とともに第二位となって呼び名も座敷持・部屋持となった。(『女性語辞典』東京堂出版)

 新造
 振袖新造(振新)、袖留新造(留新)、番頭新造(番新)がある。
 振袖新造は禿からなるもので、客を取るものと取らないものがあった。鉄漿をつけず、振袖を着て、姉女郎の道中のお供をした。
 袖留新造は振袖新造によい客がつき、袖留にして一部屋をもち、上妓になれない見世張の突出し※で一本になった遊女。
 番頭新造は昼三など上妓の世話をした。年季明けののち勤めるので三十歳を過ぎていて、色を売ることはなかった。(『江戸吉原図聚』中公文庫)

※突出しとは新造がはじめて客を取り、一本立ちするお披露目のことをいう。
 見世張突出しと道中突出しとがあり、前者は呼出しになれない遊女がするもの、道中の突出しは最高の呼出し昼三になるものがするもので、普通「突出し」とは後者を指す。道中突出しの費用は御役といわれる後ろ楯になる姉女郎が負担し、全額の費用は二百~五百両を要したという。(『江戸吉原図聚』中公文庫)

参考:『女性語辞典』(東京堂出版)、『江戸吉原図聚』(中公文庫)、『日本史小百科 遊女』(東京堂出版)、『広辞苑』第五版(岩波書店)、『日本風俗辞典』(弘文堂)、北村鮭彦『お江戸吉原ものしり帖』(新潮文庫)
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