FC2ブログ

 藍、茜、紅ときたので次は紫です。
 そういえば、「藍」のみ紫陽花つながりでカテゴリが「四季おりおり」に入っていますが、続きものです。

 染色に手間がかかることから、古来高貴な色とされてきたのが紫。白い花が群れて咲くことから叢咲(ムラサキ)の名がついたとされ、その根で染めたのが紫色。染料となる紫草をとるための栽培地を「紫野」といい、これが有名な額田王の「あかねさす紫野行き標野(しめの)行き野守は見ずや君が袖振る」の歌にある紫野です。紫色に染めるための紫草を栽培する紫野は標野、すなわち一般の人びとの立ち入りが禁じられた御料地だったのです。ここからも、紫という色の希少性がうかがえます。紫が高貴な色であることから「紫の」は地名「名高」にかかり、また色から「雲」「藤」に、染めた色の美しさから「にほふ」にかかる枕詞でもあります。
 平安時代には紫は色の代表格となり、たんに「濃き」「うすき」といった場合、それは紫のことを指しました。平安時代を代表する文学作品である『枕草子』は、「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。……」と始まります。これは、美しい春の情景を褒め称えると同時に、瑞兆である紫雲が出現する天皇(一条天皇)の御代を褒め称えているともいいます(作者・清少納言が仕えた藤原定子は、一条天皇の皇后)。また、『枕草子』には、「めでたきもの」として「すべてなにもなにもむらさきなるものはめでたくこそあれ。」とあります。清少納言と並び立つ女性作家・紫式部が著した『源氏物語』に登場する理想の女性がすべて紫色に縁がある(桐壺更衣、藤壺、紫の上)のも、紫が高貴な色ととらえられていたためです。
スポンサーサイト



コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

Powered by FC2 Blog

Copyright © コトノハナ。@備忘録 All Rights Reserved.